日本三古湯の一つ道後温泉の話と真穴みかん
初めて会った人間に、とても親切な申し出をしてくださったのですが、翌日は朝から砥部焼の取材が入っていたため、残念ながらお風呂をお借りすることはありませんでした。
道後温泉は、古代からその存在が知られ、日本三古湯の一つと言われています。夏目漱石の『坊つちやん』(1905年)でも、「住田」という温泉場として何度も登場します。ちょっと、抜き出してみましょう。
前の記事(銘菓郷愁 - 漱石にも勧めたい「坊っちゃん団子」 愛媛県松山)に書いた「坊ちゃん団子」は、この部分にちなんでつくられたお菓子です。で、まだあります。
「おれはここへ来てから、毎日住田の温泉へ行く事に極めている。ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。せっかく来たものだから毎日はいってやろうという気で、晩飯前に運動かたがた出掛ける」更に、住田という固有名詞ではなく、温泉になると、これがもう、あちこちに出てくるわけです。「温泉は三階の新築で上等な浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む」とか、「私は正に宿直中に温泉に行きました。これは全くわるい。あやまります」「温泉へ着いて、三階から、浴衣のなりで湯壺へ下りてみたら」などなど・・・。
この3階建ての温泉というのが、有名な道後温泉本館です。漱石が、旧制松山中学に英語教師として赴任したのは、1895(明治28)年のことで、道後温泉本館は、その前年、94年に改築したばかりでした。建物は、松山城の城大工棟梁の家系である坂本又八郎が設計しました。
道後温泉本館は、いわゆる銭湯ですが、1994(平成6)年に国の重要文化財に指定されながら、今も現役の公衆浴場として営業をしています。2007(平成19)年に地域団体商標(地域ブランド)として認定された他、09年にはミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで最高位の三つ星を獲得しています。
そんな道後温泉ですが、私は、誘って頂いたホテルのお風呂だけではなく、道後温泉本館にも入ったことがありません。実は、大入亭で、ホテルの社長にお会いする1年半ほど前、伊予市のえひめ森林公園で取材があり、そこでお会いした松山マダムから、本館の話を聞いていたからです。皆さんがおっしゃるには、本館はあまりにも人気で、順番待ちは当たり前、やっと入っても芋の子を洗うような混雑ぶりで、衛生的に感心しない、と。
それを聞いて、なるほどと思いながら、完全に引いてしまい、本館での入浴は敬遠することにしたのです。ただ、もしどうしても入りたかったら、お湯を入れ替えた朝一番に行かないと、ともアドバイスをもらったので、朝イチの本館突撃はイケルかもしれません。ところで、伊予で取材があった時、初めて真穴みかんと遭遇しました。たまたま松山市内を歩いていて、買ってみたところ、ものすごくおいしかったため、えひめ森林公園の取材後、空港へ向かうまでに、真穴みかんを探すことが最大のミッションとなりました。
で、途中でスーパーを発見。真穴みかんを探しに、一路フルーツコーナーを目指そうと思った私に向かって、何者かが突進して来ました。思わず後ずさりする私に、その人が渡してきたのが、チャルメラのちゃんぽんでした。売り出しキャンペーンだったんですね。しかし、レンタカーでスーパーに乗り付け、インスタントラーメンをもらった私って・・・と思い、後でSNSに投稿したら、「やはりB級好きなのが伝わったのでしょうか?」とのコメントが付きました。
そう言えば、取材でお会いした松山のおばさまたちからも、どこか違うと思ったと言われ、帰りには、あんパン3個と焼き芋3本を持たされました。やっぱ、隠せないのね、と恐れ入った次第です。結局、真穴みかんは、そのスーパーで10個398円の袋を購入。ついでに10kg入りの箱をゆうパックで自宅へ送りました。
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