八百萬の神々が滞在する出雲大社東西十九社を参拝

出雲大社 東西十九社

出雲大社へはこれまで、3回行っています。1回目は1995年で、石見銀山のある大田市在住の知人に連れて行かれました。しかし、この時は駐車場に車を停め、なぜか近くの店で出雲そばだけ食べて帰って来ました。今から思うと、ちょうど昼時だったので、単に食事に寄っただけだったようです。

直近は、2016年で、この時は、第35回出雲くにびきマラソンに参加した方の追跡取材のためでした。取材させて頂いたのは、出雲くにびきマラソンに視覚障害を持つランナーが参加するきっかけとなった半谷辰男さんでした。で、9年ぶりに参加した半谷さんは、久しぶりの出雲ということもあり、遷宮が終わった出雲大社への参拝を希望。私も同行したというわけです。

出雲大社 二の鳥居

もう一度は、2010年の11月22日でした。1995年の初訪問は、境内には入っていなかったので、この時が初めての参拝となりました。

出雲大社には四つの鳥居があります。順にくぐっていくと四逢わせ=幸せになれるんだそうです。一の鳥居は日本一の大鳥居で、宇迦橋を渡った神門通りの入口にそびえています。

出雲大社
二の鳥居は神門通りが終わった勢溜(せいだまり)にある木造の鳥居。昔、市が立ったり、芝居小屋や見世物小屋が出来て、人出が多かったことから、「人の勢いが集まり溜まる場所」ということで「勢溜」と呼ぶそうです。

で、この二の鳥居からが、本当の参道という感じで坂を下ります。次の三の鳥居からは松並木の参道になっていて、最後の四の鳥居をくぐると、目の前に拝殿があります。で、鳥居を四つともくぐると幸せになれるということなので、私、二の鳥居のそばでそばを食べたんですが、食べた後、神門通りを戻りまして、一の鳥居から順にくぐってきました。

ところで、神門通りに行列が出来ていたのですが、看板を見ると「日本ぜんざい学会壱号店」とありました。同学会によると、ぜんざいは出雲地方の「神在(じんざい)餅」が元で、これが出雲のズーズー弁により「ぜんざい」になったそうです。出雲には旧暦10月に全国から神々が集まり、「神在祭(かみありさい)」が執り行われるわけですが、その折に振る舞われたのが神在餅で、ぜんざいは出雲の発祥というのが、同学会の主張です。

ちなみに、ぜんざいについては、とんちで有名な一休さんにまつわる食べ物という説もあります。大徳寺の住職から餅の入った小豆汁をごちそうになった一休さんが、そのおいしさに「善哉此汁」と言ったことから、その食べ物を「善哉(ぜんざい)」と呼ぶようになったというものです。この話、私は通称一休寺で知られる京都・酬恩庵の田邊宗一住職から直接伺いました(代々の住職が受け継ぐ一休さんの納豆 - 京田辺市)。

話が横道に逸れますが、日本ぜんざい学会(現・出雲ぜんざい学会)は、出雲大社門前町の活性化のために作られたもので、中心となったのは、市内でホテルを経営する田邊達也さんだそうです。一休寺の住職と同姓なので、一度、対談でもしてもらいたいものです(笑。。。

出雲大社 東西十九社

出雲大社 東西十九社

で、私の初参拝は、たまたま神在月の11月で、しかも22日は「神在祭」最後の日でした。この日は、神々をお見送りする「神等去出祭(からさでさい)」が行われると聞き、取材地である浜田へ移動する時間を遅らせ、せっかくなので神事まで残ることにしました。

さて、「神在祭」の期間中、全国から集まった神様たちは、本殿の東西両脇にある「十九社(じゅうくしゃ)」に滞在し、毎日、「上宮(かみのみや)」で神議り(かむはかり)を行います。

出雲大社 東西十九社

つまり、東西十九社には、折良く全国の神様が滞在中だったわけです。そこで、拝殿での参拝はもちろんですが、これ幸いと東西の十九社全てで二礼四拍手一礼(一般的には二礼二拍手一礼ですが出雲大社は四拍手)をしまして、住所、名前を申し上げて、願い事なんぞを致して参りました。十九社の扉が開いているのは、神在祭の間だけなので、なかなかどうして得難い経験でした。

出雲大社 神等去出祭
その後、16時から神等去出祭が執り行われました。十九社にあった神籬(ひもろぎ)が、絹垣に囲まれて拝殿へ向かいます。神籬が、拝殿に入って祭壇に供えられると、祝詞が奏上されます。そして、最後に神官が、本殿楼門に向かって門の扉を3回叩き、「お発ち」と発声。これを合図に、神々は神籬を離れ、出雲大社を去って行かれます。

実のところ、最後の「お発ち」は聞こえませんでしたが、ともあれ私も八百万の神々をお見送りすることが出来ました。

なお、出雲大社を後にした神々は、松江の佐太神社を経由し、最後は斐川町の万九千神社から、全国各地へ戻って行かれます。

関連記事→出雲くにびきマラソンの魅力

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