四季光彩 - 奥日光の自然美 その二

小田代ヶ原
幻の湖が出現した小田代ケ原

奥日光といえば華厳滝中禅寺湖戦場ケ原など、日本を代表する自然があふれています。そんな有名観光地が、あちこちに点在することもあって、滝に湖、湿原、水といったイメージが強いのではないでしょうか。が、奥日光は自然林の探勝路も整備され、気軽に森を堪能出来るスポットにもなっています。

日光の森にはさまざまな表情があります。新緑や紅葉など、季節ごとの違いもありますが、ミズナラやカラマツの森など、樹種による表情も豊かです。

ミズナラは標高1600mまでの山地帯の代表的な植物で、純林を形成することは少ないと言われます。しかし、奥日光ではいくつかの純林が見られ、特に山王林道を入った光徳牧場近くの光徳の森は「光徳ミズナラ植物群落保護林」に指定されています。中には母樹と思われる直径80cm、樹齢300年以上の大木も見られますが、だいたいは樹高15m、直径20cmほどの若々しいミズナラで形成されています。

また、通称・柳沢林道(日光市道1002号線)でも、ミズナラの美しい純林が見られます。柳沢林道は国道120号線から小田代ケ原を通り、西ノ湖千手ケ浜へ至る林道で、かつては一般車の通行も認められていましたが、自然が荒れたため、1993年から一般車の乗り入れは禁止され、低公害バスが運行しています。といっても、平日は1日に6往復しか運行していないので、車道を歩いても危険はありません。

戦場ヶ原と男体山
戦場ケ原と男体山

以前、カメラマン氏と撮影行を重ねた時も、またその後、単独で撮影に行った際にも、ここは何度も通っており、勝手知ったる道です。せっかくなので、ブログのタイトル通り、少し旅先案内をしてみましょうか。

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柳沢林道に入るとすぐ、左手にカラマツ林があります。林床にはミヤコザサが生え、夏は緑、秋には黄色く色づいたカラマツとのコントラストがとてもきれいです。少し歩くと、湯川に出合います。湯ノ湖を源とする湯川は、湯元温泉の対岸にある湯滝となって流れ落ち、戦場ケ原の中を緩やかに流れた後、竜頭ノ滝で再び下り、中禅寺湖へと注ぎます。

柳沢林道と交差する湯川の脇は、戦場ケ原と竜頭ノ滝を結ぶ探勝路になっています。この湯川にかかるしゃくなげ橋を渡ると、その先に小田代歩道の入口があります。こちらの歩道に入り、森の中を歩いても、そのまま車道を歩いても、どちらも美しい風景に出会えます。

奥日光 柳沢林道

そして、ここから小田代ケ原までが、ミズナラの森が広がるエリアになります。ミズナラの森は低木層がなく、林床まで光が差し込む明るい感じの森です。柳沢林道の森はだいたいミヤコザサで覆われていますが、一部クマワラビが林床を埋めている場所もあり、とくに初夏は非常に鮮やかな緑を見せてくれます。

奥日光 高山登山道
さて、しゃくなげ橋から20分ほど歩くと、左手に高山登山道があります。少し寄り道をし、この登山道を歩いてみましょう。しばらく歩くと、両側にシラカバ林が続きます。この林を抜けると、忽然と視界が開け、明るい広場に出ます。シラカバ林の後方には男体山も見え、気持ちのいい風景が展開します。あまり人は入ってこないので、実に静かな広場になっており、私はよく倒木に腰を降ろして、休息を取ったものです。じっとしていると、時にはシカの鳴き声なども聞こえてきます。

ここで一休みしたら小田代ケ原へ。が、小田代ケ原はシカの食害のためフェンスで覆われており、かなり艶消しの印象を受けるかもしれません。ただ、ここには「貴婦人」と呼ばれる一本のシラカバがあり、多くのカメラマンを引き付けています。小田代ケ原は湿原から草原への過渡期にあるそうですが、大雨が降った後など、湖のようになることもあります。ただし、オリンピックやワールドカップではありませんが、4年に一度ぐらいしか出現しないため、幻の湖とも呼ばれています。

この先は弓張峠を越えて西ノ湖、千手ケ浜へ向かいます。弓張峠の下は広大なカラマツ林が展開し、西ノ湖、千手ケ原にもこのうえなく美しい森があります。このルートは低公害バスも運行しているので、疲れたらバスに乗るつもりで、ぜひ足を延ばしてみたいもの。

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奥日光は、日本有数の観光地だけあり、宿泊設備も充実しています。温泉も中禅寺、光徳、湯元にあり、それぞれ旅館やホテル、ペンション、民宿などが建ち並んでいます。またキャンプ場も整備されており、アウトドア派にとっても絶好のスポット。中禅寺湖や湯ノ湖にはヒメマス、ニジマス、ウグイ、ワカサギなどが棲み、釣りも楽しめます。


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