冬の味覚・五十嵐浜の地ダコ
昨日の明石からのタコつながりという強引な技で、今日は新潟市内野のタコについてです。
内野については以前、「杜氏の技と蔵元のこだわりが生む越後の隠れた銘酒たち」で、かつては造り酒屋が集中し、酒蔵の町と呼ばれていたことを書きました。で、酒の寒造りと共に内野の冬を語る上で欠かせないのが、こちらも知る人ぞ知る五十嵐浜の地ダコです。
冬場、天気の良い日に国道402号を走っていると、内野町を流れる新川の辺りで軒下に巨大なタコがぶら下がっている光景に出合います。大きなものでは体長3m、重さ50kgなんてものもあるそうです。種類はミズダコですが、この巨大タコは内野周辺でしか捕れません。しかも、12月から3月までの産卵期に限られます。
そこへもってきて、冬の日本海は、時化が多いときています。この時期、漁に出られる日はあまりなく、地ダコが揚がるのも1シーズン12〜13回というから、地元の人でもなかなか口に出来ない貴重品なのです。
タコ漁というと「たこつぼ」を仕掛けるのが一般的に思われます。が、実際にはいろいろな漁法があるようです。例えば、日本一の明石では、たこつぼ漁もありますが、ほとんどが底引き網漁で、一部一本釣りも行われているらしいです。タコの一本釣りって、どんなでしょうね。興味があります。
また、「西の明石、東の志津川」と言われる宮城県南三陸町では、「籠網」を沈めて、タコを捕っています。一方、内野の五十嵐浜では、松やナラの木箱を使います。これは、明治時代から伝わる五十嵐浜独特の漁法だそうです。
こうして捕られたタコは、すぐに茹でて直売しており、五十嵐浜の道端に大きな地ダコがぶら下がる光景は、内野の冬の風物詩となっています。五十嵐浜の地ダコは、でかいだけではなく、味も格段に旨いので、午前中には完売してしまうといいます。
食べ方としては、そのまま刺し身で食べるのが、何と言ってもいちばんです。足の吸盤はこりこりとした歯ごたえがあり、頭部は脚より甘みがあります。
ちなみに、地元の方の計らいで、内野駅近くの料理屋さんに調理してもらい、タコの内臓を撮影させてもらいました(トップ写真)。普通は、漁から帰った後、すぐに内臓を取り除いて茹でるため、一般の人の口にははなかなか入りませんが、漁師さんに頼めば分けてもらえることもあるんだそうです。
また、地元では、生のタコしゃぶも人気があると聞きました。地ダコを肴に、地酒を飲む。いやはや、内野の人がうらやましい。
しかも、私が取材した当時、内野には、蔵元たちの快諾を得て、内野の地酒4種類をブレンドして飲ませてくれる店がありました。今は蔵元のうち2軒が廃業し、残っているのは、個人的にイチオシの「鶴の友」の樋木酒造と、「越の関」のブランドで知られる塩川酒造だけですが、ブレンド地酒は今、どうなっているでしょう。気になるわぁ。
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