不思議系B級グルメの代表格「黒石つゆやきそば」
新青森駅にあった「黒石や」の黒石つゆやきそば |
弘前城追手門広場での取材後、お目当ての「肉の富田」のかつサンドをゲット出来ず、傷心の帰京となった私(詳しくは昨日の記事参照)。新幹線で帰るため、弘前駅から新青森駅へ移動しました。
と、ここで、「B級グルメ黒石つゆ焼そば」と書かれた暖簾を掲げる「黒石や」という店を発見。かつサンドの敵をつゆやきそばで、じゃないですが、B級グルメ好きとしては、ここは食っとけモードとなり、暖簾をくぐって店内に入りました。
黒石には行ったことがないし、初のつゆやきそばだな。そう思った、忘れん坊の私。当然のように、「名物!」と書かれたつゆやきそばを注文しました(写真上)。
黒石にはもともと、太めの平麺と甘辛いウスターソースが特徴の「黒石やきそば」がありました。この「黒石やきそば」に汁をかけたものが、「黒石つゆやきそば」で、昭和30年代後半に提供されたのが最初と言われています。
「黒石やきそば」は、かつて「おやつ焼きそば」と呼ばれ、10円から食べられる子どものおやつだったそうです。関東のもんじゃ焼きも、昔は東京の下町や埼玉の南東部の駄菓子屋で子どもたちがおやつとして食べていたものでした。それが今、B級グルメとして脚光を浴びているわけですが、子どもの頃に食べていた人には郷愁をもって、またそうではない人にとっても珍しい食べ物として、受け入れられているのでしょう。
で、「黒石つゆやきそば」は、黒石市中郷にあった「美満寿」という食堂が始めたものでした。子どもの頃に食べた人の話では、「寒い冬に、子どもたちのため、作り置きで冷めてしまった焼きそばに温かい汁をかけてくれたのが始まりじゃないのかなぁ」とのこと。
ただ、「美満寿」の閉店により、つゆやきそばもいったんは姿を消してしまいます。しかし、その味を懐かしんで、つゆやきそばを再現する飲食店が出始めます。更に近年のB級グルメ・ブームもあり、「黒石やきそば」と共に「黒石つゆやきそば」も脚光を浴びるようになりました。
なぜかすり鉢で提供された「妙光」二号店の黒石つゆやきそば |
となれば、全国的にも珍しい、不思議系B級グルメのつゆやきそばに注目が集まるのは必須。てなわけで、今では黒石「名物!」と言われるようになったわけです。
ところで、うっかり者の私、忘れていたことがあります。新青森駅で「黒石つゆやきそば」を食べるずっと前、2009年につがる市の友人に青森のB級グルメを案内された際(インパクト大の青森二大B級グルメ - 生姜味噌だれおでんと味噌カレー牛乳ラーメン)、翌日の昼に青森市内にあった「妙光」の二号店に連れて行ってもらい、「黒石つゆやきそば」を食べていたのです。
「妙光」の本店は黒石市内にあり、ご主人の中村弘美さんは、ねぷた絵師でもあります。中村さんも小さい頃、「美満寿」のつゆやきそばを食べていたそうで、それを自分なりにアレンジ。「妙光」では、焼きそばにかける汁にラーメンのスープを使っていました。
この時、友人に食べた感想も伝えたいたようで、「食べているうちに味に慣れてしまったが、ひと口目は明らかに焼きそばだった」と話したとか。そう、ここは大事なので言っておきますが、中身はソース焼きそばなんです。
ところで、中村さんの妹さんがやっていたという「妙光」二号店は既に閉店、また新青森駅にあった「黒石や」も2020年6月末で閉めてしまいました。やはり「黒石やきそば」と「黒石つゆやきそば」を食べるなら、黒石まで足を延ばすべきですな。
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