静寂につつまれる冬の銀山湖を訪ねて


朝来市というと、旧和田山町にある雲海に浮かぶ山城・竹田城で有名ですが、以前、姫路市在住の写真愛好家に勧められたのは、旧生野町にある銀山湖でした。しかも、季節は冬限定で、勧められるまま、2月の寒い時期に生野を訪問しました。

生野は兵庫県のほぼ中央、古代から出雲・大和両文化圏の接点として開け、生野銀山と共に発展してきた鉱山の町です。生野銀山は、807(大同2)年の開坑と言われ、室町時代の1542(天文11)年、山名祐豊が銀鉱脈を発見、本格的な採掘が始まりました。その後、織田・豊臣時代を経て、江戸時代には幕府の直轄地として「生野代官」が置かれ、新潟の佐渡金山、島根の大森銀山と共に幕府の宝庫的存在となっていきました。


生野までは、姫路からJR播但線特急はまかぜ1号で約45分。車の場合は、やはり姫路から播但連絡道路を利用、生野南ICまでは約50分です。

私は車を利用しましたが、生野に着いたら、まず駅にほど近い「生野書院」に寄ってみたいところです。中は史料館になっていて、生野銀山関係はもとより、昔の生野の暮らしぶりや生活に関わる史料が展示されています。建物は、大正時代に建てられた林木商の邸宅を改修したもので、生野の町にはまだ、明治、大正の頃のこうした古い建物が多く残っており、銀山の町として繁栄した往時の面影を伝えています。


町並みを散策した後は、国道429号を東へ向かいます。目的の銀山湖の途中に、生野銀山があります。1973(昭和48)年に資源枯渇のため閉山した銀山の跡が、翌年から史跡・生野銀山として保存されています。約1kmの観光坑道や銀山資料館、銀を製錬した吹屋資料館などがあり、50分ほどの見学コースになっています。

さらに東へ10分ほど走ると、県立生野ダムとして建設された銀山湖に出ます。周囲12km、貯水量1800万平方リットルの人工湖で、生野を流れる市川の清水を満々とたたえています。フナやコイ、ブラックバスが多く、釣りのメッカとして県内外の釣り人が足しげく通います。


しかし、冬の銀山湖は静寂につつまれます。この辺りは雪も多く、鏡のような湖面に雪をかぶった周囲の山々を映します。また、温暖化の影響もあり、最近は全面結氷することはないようですが、トップ写真のように湖面が凍ると、湖底に沈んだ木が湖面に突き出したり、波紋を広げたような円が所々に現れ、不思議な風景を見せてくれます。

ちなみに、生野銀山から竹田城までは約25km、車で40分ほどで行くことが出来ます。

関連記事→興亡150余年の山城の石組み

コメント

  1. そう言えば竹田城の雲海ツアーも実現できてなかったですね。秋までのお預けですが、さていつになるやら・・・

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    1. 実現出来ないことが多いまま、歳月だけが経っていきます。我々はまだしも、発表会や文化祭、体育祭、修学旅行などなど、中止になってしまった子どもたちはかわいそうですね。
      孫は予定されていた新体操の発表会が中止になったのに、今日になってみんなで作ったおそろいの衣装が届いたそうです。。。

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