蒲郡市と西尾市から三河湾を望む

三河湾の日の出
前に何度か記事の中で触れていますが、担当していた雑誌の写真コンテストの常連さんに、撮影スポットを案内してもらう企画をやったことがあります。その際、愛知県の方に案内されたのが、三河湾でした。案内人は尾張(名古屋)と三河(岡崎)のほぼ中央にある東浦に住んでいました。日の出や夕陽の瞬間にあらわれる、色彩の変化と雲の表情に魅せられ、三河湾一帯を撮影地としていましたが、その時は蒲郡市と、幡豆町・吉良町(いずれも現在は西尾市)を中心に、内陸側を案内してくれました。

名古屋からは、名鉄三河線または名鉄西尾線の吉良吉田駅で下車。東京方面からは、新幹線の豊橋で東海道線に乗り換え、蒲郡へ。車では、東名高速の音羽蒲郡インターから音羽蒲郡有料道路を使い、やはり蒲郡へ出ます。東海道線の豊橋 - 蒲郡が10分、車ではインターから蒲郡までが約20分なので、この記事ではまず、蒲郡から紹介します。

蒲郡は県下有数の観光都市で、市内には三谷温泉、形原温泉、蒲郡温泉、西浦温泉と、四つの温泉場があります。観光都市・蒲郡のシンボルともいえる小島・竹島は、蒲郡温泉の近くにあり、陸とは387mの橋で結ばれています。島全体が暖地性植物でおおわれ、国の天然記念物に指定されています。周辺にも、三重県・鳥羽や伊良湖、三河大島への乗船センター、竹島水族館などがあり、多くの観光客が訪れます。


蒲郡から幡豆までは、名鉄でほぼ15分、車では形原温泉から三ケ根山スカイラインを通って約35分。三ケ根山スカイラインは別名「あじさいライン」と呼ばれ、約15kmの道筋に植えられた7万株のアジサイが、6月初旬から7月中旬にかけて咲き乱れ、ドライバーの目を楽しませてくれます。山頂には、殉国7士の墓やフィリピン戦没者の霊を慰める比島観音などがあり、遠くに渥美半島、知多半島、眼下に三河湾が望めます。

幡豆にはまた「うさぎ島(前島)」と「猿が島(沖島)」という名の無人島がありました。うさぎ島には400羽のウサギが、猿が島には100匹のサルが放し飼いにされ、観光客が間近に動物と接することが出来る「海上動物園」として親しまれていました。遊覧船で20分ほどで渡れたのですが、観光客が減ったことで、遊覧船の運航が停止、島の名も正式名称に戻りました。ちなみに「うさぎ島」のウサギは近隣の小学校や動物園などへ譲渡され、「猿が島」のサルは犬山市のモンキーパークに引き取られたそうです。


幡豆のお隣り吉良は、赤穂浪士の敵役で知られる吉良上野介の古里です。忠臣蔵では悪名高い上野介ですが、実際には治水や新田の干拓、塩田開発などを行い、領民からは名君として慕われていたといいます。町にはその上野介を始めとする吉良家の菩提寺・華蔵寺や国宝に指定されている県下最古の木造建築物・金蓮寺弥陀堂、それに吉良仁吉の墓、『人生劇場』で知られる尾崎士郎の菩提寺・福泉寺などがあります。


三河湾は他にも、渥美半島や知多半島を始め見どころがいっぱいあります。私は、案内人の紹介で、吉良・宮崎海岸の三河湾リゾート・リンクスに泊まって、ゆっくり回りましたが、西尾には「一色産うなぎ」「西尾の抹茶」と、特許庁認定の地域ブランドが二つあり、食を楽しむことが出来るので、それらも含めた旅程を立てるといいと思います。

関連記事→日本の心・茶の文化を育む三河の小京都

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