国見ケ丘から雲海に覆われた天孫降臨の地を望む
高千穂町は九州山地のほぼ中央、宮崎県の最北端にあり、熊本県、大分県と接しています。国の名勝、天然記念物に指定されている高千穂峡や、国見ケ丘などの景勝地を持ち、天の岩戸開きや天孫降臨を始めとする神話の町として、1年を通じて多くの観光客をひきつけています。
国見ケ丘は、神武天皇の孫に当たる建盤龍命(タテイワタツノミコト)が、 九州統治のため阿蘇に向かう途中、この丘に立ち寄って国見をされたという伝説の丘です。近くには、建磐龍命を祭神とする中畑神社があります。樹齢約300年という杉をご神木とした神社の社殿は、建磐龍命が建てたとされる行宮の跡地に建てられています。建磐龍命は、阿蘇を開拓した神様ともされ、熊本県阿蘇市には、建磐龍命を主祭神とする阿蘇神社があり、中畑神社は、その外宮となっています。国見ケ丘は、標高513mの小さな山ですが、頂上付近からは、眼下に高千穂の町並みや棚田など、五ケ瀬川に沿って広がる高千穂盆地の美しい風景を見下ろせます。更には東に高千穂の山々、西に阿蘇外輪山や阿蘇五岳、北に標高1757mの祖母山をはじめとする連峰、南に霊峰「二上山」に続く椎葉の山々を一望出来る絶景スポットです。
ちなみに、ここから眺める阿蘇五岳は、お釈迦様が横たわった姿に似ていることから、別名「阿蘇の涅槃像」と呼ばれています。2011年には世界的旅行ガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で、一つ星を獲得しました。
国見ケ丘はまた、雲海の名所としても知られます。秋から初冬(9月中旬から11月下旬)の快晴無風の冷え込んだ早朝、霧が高千穂盆地や、とりまく山々を覆い隠し、墨絵のような幻想的な世界を演出します。天孫降臨の地だけに、朝日が差し込むと同時に雲海が広がり、さまざまな表情を見せてくれる光景は、まるで神話の世界のようです。
そのため、シーズン中は多くの人が、早朝にもかかわらず、雲海を見るために国見ケ岳に上がってきます。実際のところ雲海は天候次第ですが、ちょうどこの頃は、国の重要無形民俗文化財になっている夜神楽が奉納される時期でもあり、夜神楽見学に雲海を組み合わせてもいいかもしれません。
また、国見ヶ丘は、初日の出スポットとしても人気で、毎年、初日の出参りを行う人で賑わいます。元日に国見ケ丘でご来光を仰いだ後、初詣は天岩戸神社にというのは、神話の地ならではの正月行事ですね。
ちなみに、高千穂へのアクセスは、宮崎空港より熊本空港を利用した方が早いです。熊本空港から車で約1時間半。1日2本ですが、特急バスも運行している他、福岡からは高速バスもあります。
関連記事→天孫降臨神話に彩られた神々の里
コメント
コメントを投稿