天孫降臨神話に彩られた神々の里
阿蘇中岳の火口近くまで行った後、次の目的地・高千穂まで移動しました。と言っても、取材地の日之影に適当な宿が見つからず、中継地として高千穂に泊まることにしたものです。ただ、単なる中継地ではもったいないので、まず高千穂峡に寄ってみました。阿蘇から高千穂峡まで、国道325号で約53km、所要時間は1時間とちょっとでした。
一昨日の鍋ケ滝の記事で、「阿蘇の大自然は、約9万年前に起こった巨大噴火によるもの」と書きましたが、実は高千穂峡も、阿蘇山の火砕流がもたらしたものです。高千穂峡の場合、9万年前の噴火とその3万年前、つまり約12万年前の噴火による火砕流が、五ケ瀬川を浸食して出来た浸食峡谷です。
峡谷は、高い所で100m、 平均80mの断崖が、東西に約7kmにわたって続いています。高千穂峡にある真名井の滝は、日本の滝百選になっている名瀑で、高千穂峡のシンボルともなっています。
この高千穂峡には、約1kmの遊歩道が整備され、崖の上から峡谷や滝を眺められます。また、真名井の滝の近くには、貸しボートもあり、水上から滝を始め柱状節理の断崖を見上げることも出来ます。
私が行ったのは、晩秋だったので、深い緑の渓谷というイメージとは違っていたものの、背景が紅葉しており、それはそれできれいな風景でした。この晩秋というのは、高千穂で夜神楽が始まる時期でもあります。しかも、私が高千穂に行った日は、ちょうど高千穂神社の夜神楽まつりにぶつかり、夜神楽を鑑賞することが出来ました。
毎年11月22日と23日の2日間、高千穂神社の神楽殿で、「神話の高千穂夜神楽まつり」が開催されるそうで、タイミングばっちりでした。で、宿で夕食を取った後、高千穂神社へ向かいました。宿では、夜神楽まつりを見に行く宿泊客のために、バスを出してくれ、行きはそれを利用させてもらいました。
高千穂の夜神楽は、神楽宿と呼ばれる民家や公民館で、夜を徹して三十三番の神楽を氏神様に奉納します。町内20の集落で行われますが、例祭日は集落によって異なり、毎年11月中旬から翌年2月上旬にかけて、それぞれの地域で奉納されます。
ただ、高千穂の夜神楽は、神事ですし、期間も決まっているので、一般の観光客はなかなか見ることが出来ないため、いつでも神楽を広く鑑賞出来るようにと、毎日高千穂神社境内の神楽殿で「高千穂神楽」が行われています。毎日夜の8時から1時間ほどで、公開されるのは、33番のうちの代表的な神楽「手力雄の舞」「鈿女の舞」「戸取の舞」「御神体の舞」の4番になります。
高千穂夜神楽まつりは、これとはまた別で、毎晩奉納されている4番分の神楽ではなく、高千穂の夜神楽33番分全てが2日にわたって奉納されます。初日の22日は18時から23時まで、23日は10時から23時まで行われます。残念ながら、私の場合は仕事で行ったため、全てを鑑賞することは出来ませんでしたが、本格的な夜神楽を楽しみたい人は、この2日がお勧めです。
この夜神楽まつりの翌日は、早起きをして、国見ケ丘へ行ってみました。この季節に現れる雲海もまた、高千穂の秋の風物詩です。夜明け前に高台に上れば、町は雲海の下に眠っており、静寂かつ幻想的な光景を見ることが出来ます。国見ケ丘は、その雲海を望める絶好のスポットなのです。
しかし私、かなり高をくくっていたようです。宿から国見ケ丘までは5kmほど、車で約10分です。ひむか神話街道を越えた辺りから、緩い上りになり、カーブが続きます。街路灯もなく、真っ暗な山道を走って行くと、間もなく国見ケ丘の無料駐車場に出ます。途中、車の気配などなかったので、空いているかと思いきや、既に多くの車が止まっていました。夜神楽シーズンは、特に観光客が多いでしょうから、そうなるでしょうねえ・・・。
で、私は「超晴れ男」の異名通り、見事雲海を見ることが出来、満足して宿に戻りました。
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