エメラルドグリーンの海が広がる絶景の柏島
大月町は、高知県最西端、海岸部を中心に足摺宇和海国立公園に指定されている自然豊かな町です。以前の記事に書いた、キャラメルのような干し芋「ひがしやま」の産地です。特に、大月町龍ケ迫産の「ひがしやま」は絶品と評判で、私も「道の駅 ふれあいパーク・大月」で買い求め、それを実感しました。
その龍ケ迫は、豊後水道の南端にある宿毛湾に面した集落です。集落は、昨日の記事に書いた、愛南町の「石垣の里」のような石垣で囲まれた家があったり、石積みの段々畑があったりして、高知というより愛媛の南予のような風景が展開します。
というのも、龍ケ迫は、1876(明治9)年頃、愛南町の大浜から移住してきた人たちが住み着いた場所なのだそうです。愛南町大浜と大月町龍ケ迫は、宿毛湾を挟んで反対側にあり、陸路だと湾をぐるっと回るため30km強ありますが、海路だと約10kmと陸路の3分の1ほどになります。「石垣の里」外泊は、隣の中泊から次男以下が移住して作られた集落でしたが、龍ケ迫も同じような理由で、大浜から分家移住してきたのでしょうか。現在、龍ケ迫天満宮の秋祭りなどで披露される「龍ケ迫の獅子舞」も、1892(明治25)年に、愛媛の行商人が集落の若者たちに伝えたのが始まりと言われており、移住元とのつながりは、かなり強かったのだろうと思われます。
さて、龍ケ迫のある大月町には、エメラルドグリーンの海が印象的な「柏島」があります。私も行ってみましたが、ここの海は本当に透きとおるように青く美しい色をしており、まさに絶景の島でした。
柏島は、宿毛湾の南に突き出た大月半島の先端にあり、柏島橋と新柏島大橋という二つの橋で、半島とつながっています。周囲4kmほどの島で、私が行った時、海の上をウミネコがわんさかわんさか飛んでいました。何事かと思って近づいてみると、どうやら魚の養殖をしているようです。後で調べると、これは「小割式生簀養殖」と呼ばれ、大きな円形の生簀では、クロマグロ(本マグロ)が泳いでいるそうです。その生簀に、イワシなどのエサがまかれる時間を狙って、おこぼれに預かろうとウミネコがやって来ていたのです。
実は大月町は、日本のマグロ養殖事業発祥の地だったのです。小割式生簀というのは、回遊魚であるクロマグロの生態に合わせた丸い生簀で、近畿大学水産研究所の原田輝雄教授により開発されました。和歌山県串本町大島にある近畿大学水産養殖種苗センターでは既に養殖が行われていましたが、漁業として取り組んだのは、大月町が初めてでした。1983(昭和58)年のことです。
繊細なマグロは養殖が難しく、大月町でも、失敗や苦労が多かったようですが、遂に事業化に成功。自然に近い環境で3年かけて育った「大月町柏島産本マグロ」は、肉質が良く、赤身まで全身トロと言われるほど脂がのっており、現在では、国内の養殖マグロの中で、最も高い評価を受けるまでになっています。この辺りはまた、世界でも有数のダイビングスポットとして知られています。浅瀬でも、サンゴや色とりどりの熱帯魚に出会えると評判で、特に夏のシーズンには大勢の人でにぎわいます。
柏島には、旅館や民宿など20軒近い宿泊施設があります。また、龍ケ迫にも、廃校となった龍ケ迫小学校を活用した民宿「自遊学校」があります。自遊学校には、和室3部屋と洋室1部屋があり、いずれも教室をリフォームしたものなので、広めの部屋になっています。龍ケ迫も、海岸近くにサンゴ群落があるなど、きれいな海に囲まれています。
私は、周防形(すおうがた)にある「ホテルベルリーフ大月」に宿泊しました。全室テラスがあるオーシャンビューホテルで、和室、洋室の他、スタンダードルームはロフト付きとなっていました。私はぜいたくにも一人でロフト付きのスタンダードルームに泊まりましたが、天井が高いので、開放感があり、ゆっくり寛げました。宇和島の岩松で買ったどぶろく「なっそ」は、この部屋で撮影後、部屋飲みで空いてしまいました。
このホテルは、大月町が1996年に建てた保養施設で、現在、民間会社のホテル事業部が、指定管理者となって運営しているようです。大月町では他にも、ふるさとセンターや物産品販売所、アトリエ棟などを持つ「ふれあいパーク大月」も設置。こちらは、地域開発・振興を目的として設立された大月町ふるさと振興公社が運営を行っています。ふれあいパーク大月は、道の駅にもなっており、直販所「ふれあい市」では、地元農家の朝採れ野菜や果物、大月町の近海で水揚げされた鮮魚などが並んでおり、季節にはもちろん「ひがしやま」もたくさん販売されます。私もここで、「ひがしやま」をゲットしました。
ちなみに、前記事の愛南町から、道の駅・大月までは約33km、国道56号と国道321号で約40分。道の駅から、ホテルベルリーフ大月までは県道43号で5km弱(約7分)、柏島までは同じく県道43号で14km弱(約15分)です。
コメント
コメントを投稿