長い歴史を誇る伝統の竹細工「三尾そうけ」


先に公開したブログ記事(「魚の王国・富山湾に君臨する味覚の王者、越中ブリ」)に書いた定置網と並んで、氷見にはもう一つ、長い歴史を誇る伝統の技があります。「三尾そうけ」と呼ばれる竹細工で、石川県境にある三尾という集落に受け継がれています。

昔、弘法大師が、この地に立ち寄った時、豊富な竹に目を留めて、土地の者に技術を教えたのが始まり、という説もあります。真偽のほどは定かではありませんが、昔から材料の竹に恵まれていたのは確かなようで、定置網のブイ代わりに竹を使っていた時代もあったようです。

「そうけ」は「笊筍」と書くように、竹で作った笊(ざる)のこと。三尾では材料にマダケを使い、昔から現在に至るまで、いわゆる米揚げざるを専門に作っています。

三尾そうけは、一方に口のついた片口型の当縁(あてぶち)仕上げのもので、1斗(18リットル)揚げから2升(3.6リットル)揚げと、大小はあるものの、形は全て同じで、重ねると、すっぽりと一つに収まります。

かつては三尾の集落のほとんどの家で、そうけ作りが行われていました。農家の副業として、農閑期などに夫婦分業で作業をしていたもので、主に男が竹を割ってひごを作り、女がそれを編み上げていました。

今もご夫婦でそうけを作っているお宅を訪ね、仕事を見せて頂きましたが、その熟練した技には驚くばかり。初めは何をしているのか分からないほど、鮮やかな手さばきでした。

が、昔は台所の便利道具として必需品だったそうけも、今ではプラスチックやステンレス製のざるに取って代わられ、一般家庭では目にすることはありません。時代の流れの中で、三尾そうけでも後継者不足と作り手の高齢化により、伝統の技が消えゆくのは時間の問題だと聞きました。寂しい限りです。


※三尾地区では、地域の伝統を継承しようと、三尾竹細工生産組合が出来、生産者を講師に竹細工を学ぶと共に、そうけの竹材を確保するため竹林の整備も行っているようです。

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