コバルトブルーに染まる神秘的な水の色が魅力の西沢渓谷
西沢渓谷は奥秩父国師ケ岳を源とし、甲武信岳から流れる東沢と共に、笛吹川の源流をなしています。国師ケ岳の雫を集めて流れる水が、長い年月をかけ巨大な一枚の花崗岩を浸食して形成された渓谷です。白い岩肌に清流が映え、春の新緑、夏の涼味、秋の紅葉、冬の氷雪と、四季折々の渓谷美を探勝出来ます。
渓谷の中は、しっかりとした遊歩道が通じており、距離も片道2時間程度なので、子ども連れにも最適。東京からは車で約2時間、朝少しゆっくり出ても、渓谷の途中で弁当をとり、のんびり歩いて清流と森林浴を満喫して日帰りすることが出来ます。中央本線塩山駅から出るバスの終点・西沢渓谷入口には、東沢山荘の駐車場と三富村の村営駐車場があります。
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東沢山荘を後にして、1kmほど先のナレイ沢橋を渡ると、分かれ道に出ます。左は帰りに戻ってくる道なので、まずは笛吹川を左手に見ながら歩いていきます。この先の西沢山荘までは車も通れるほどの広い道で、ハイキングらしからぬ行程です。
東沢と西沢の合流点二俣を過ぎ、東沢に架かる吊橋を渡った頃から、ようやくそれらしい雰囲気になってきます。それでも登山靴では照れくさいほど整備された遊歩道が続き、凍結する冬以外は、かなり気軽に探勝出来ます。
吊橋から500mほど歩くと、三重の滝に出ます。滝を見るには、遊歩道からいったん左へ下って往復することになります。この滝以外は全て遊歩道から眺められ、竜神の滝、貞泉の滝、母胎渕など、いくつもの滝や渕が次々と現れ、疲れなど感じるいとまもりません。新緑、紅葉の頃ともなれば、木々の色が水に映え、更に美しさを増します。
西沢渓谷の最大の魅力は、コバルトブルーに染まった神秘的な水の色にあります。コバルト色の水が白い川床を滑るように流れ、美しいコントラストを見せます。もっとも、これは鉱毒を含んでいるためで、飲用には適さないのでご用心。渓谷のクライマックスは、母胎渕を過ぎ、方丈橋を対岸に渡って少し登った辺りから見え始める七ツ釜五段の滝です。五つの滝が連続して流れ落ち、コバルト色の釜をつくる景観はまさに絶景。日本の滝百選にも、しっかり選ばれています。
七ツ釜五段の滝からは、足場の悪いきつい登りとなります。ふうふう言いながら登りつめると、トロッコの軌道跡に出ます。西沢渓谷はここが終点。この先はトロッコの軌道跡に沿って、山道をひたすら歩きます。渓谷からは離れるため、森の中を歩くことになりますが、5月中旬だとアズマシャクナゲの大群落を見ることが出来、単調な下りに格好のアクセントを与えてくれます。七ツ釜五段の滝からの急坂も、シャクナゲのトンネルになっているので、その季節ならあまり苦にならないかもしれません。
山道を歩くこと約1時間半、ねとり橋に到着。これを渡ると、往きに通った林道に出ます。全行程約3時間半。
乗用車の場合、中央自動車道勝沼IC経由が一般的ですが、埼玉県の秩父から雁坂トンネルを利用する裏技もあります。
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