築地界隈を歩いてみる - 築地2丁目編
ヤナギの目玉付きハンバーグ・コロッケ |
築地2丁目は、おおざっぱな南北が、1丁目同様、東京メトロ有楽町線新富町駅を起点とすると、4番出口がある入船橋のたもとから晴海通りまでの約550m、東西は1丁目との境である平成通りから新大橋通りまで、入船橋側が約190m、晴海通り側が約120mのブロックになります。
新大橋通りは、汐留から千葉県境まで13kmの都道。汐留から隅田川までは東京メトロ日比谷線が下を通っています。日比谷線築地駅と有楽町線新富町駅は約150mで、歩いて2分程度。階段の上り下りを入れても、5分あれば、乗り換えが可能です。
入船橋は、2016年まで、東京マラソンの35km地点に当たり、新大橋通りを入船橋を渡った所で右に折れ、佃大橋の急坂を上るポイントが、最大の難所となっていました。事務所が入っていた築地細田ビルは、この入船橋の近くにあり、東京マラソンのテレビ中継でちらっと映っていました。
ヤナギのオムドラメンチ |
が、事務所は15年の8月下旬に八重洲へ移転しており、細田ビルもそれを機に、取り壊しを選択したようで、16年には建物の解体撤去が行われています。そして現在、その跡地には、18年2月にオープンした「変なホテル東京 銀座」が建っています。
ちなみに、細田ビルというのは、1818(文政元)年創業の老舗菓子店・榮太樓總本鋪の管財会社である細田協佑社が管理しており、1974年に竣工。事務所は、竣工当時からのテナントで、40年以上、このビルで業務を行っていました。
ビルには、電通が移転する前は、広告の制作会社や写真の現像所などが入り、ほとんど不夜城のようになっていました。当時は会社を超えて交流があり、飲み会やキャンプなどを一緒に行っていました。前のブログ(「人の営みにより作られた美しい風景 - 山古志」)で書いた、山古志村のキャンプも、実は彼らと一緒でした。
ところで築地2丁目は、1丁目の中央区役所や築地警察、旧電通本社ビル、松竹スクエアなどのように目印となる建物は少なく、区立京橋築地小学校ぐらいしかありません。ただ、店は1丁目よりもはるかに多く、ランチに出るにはとても便利でした。しかも、ビルで働いているほとんどの人間から情報が入るので、いろいろな店に行く機会がありました。
キッチンカミヤマの野菜カレー |
この機会に、行ったことのある店をマッピングしてみたところ、1丁目の17軒に対して、2丁目は34軒と、倍もありました。ここでは、その中から主なものをピックアップして紹介します。
1軒目は、洋食のヤナギ。旧細田ビルからは約100m、歩いて2分です。典型的な町の洋食屋さんという感じで、本当によく行きました。ここは、編集部だけではなく、印刷会社の担当者やライター、カメラマンの方たちとも行った店で、特にライターの砂山幹博さんが来た時は、編集部のK嬢と一緒に、ほとんどヤナギに行っていました。というのも、砂山さんの大好きなオムドラメンチがあるからです。
具のみ入れ(左)と全部入れ(右) |
ヤナギは、メインの料理に一品プラスをするのが一般的で、カレーライスやドライカレー、オムライス、ピラフ、ミートソース、ナポリタンといったメインに、メンチ、コロッケ、ハンバーグ、カボチャのはさみ揚げ、しょうが焼きなどをプラスするという形です。この他、ライス付きのセットも10セットほどあって、私の場合は目玉付きハンバーグ・コロッケ、もしくは目玉付きハンバーグが定番でした。K嬢は、仕事では非常に決断力があるのですが、食べ物に関しては完全に優柔不断で、どれにするか毎回迷っていました。もしかしたら、どれが食べたいか迷うというより、食い意地がはっていて、一つに絞れなかったのかもしれませんが・・・。
で、砂山さんのオムドラメンチですが、普通、オムライスはチキンライスを玉子で包みますが、ヤナギの場合はドライカレーを包むものもありました。砂山さんは、それにわらじのようなでかいメンチを付けるのが常でした。ちなみに、メインの中にはカレーがけドライカレーという、ちょっと混乱してしまうメニューもあります。
やよい麺(築地やよい軒) |
洋食では、この他、キッチンカミヤマと銀座スイスの築地店がありました。カミヤマは、八重洲に移転した後に、残念ながら閉店してしまったようですが、非常にボリューミーだったので、男性に人気の店でした。少なめを頼んでも、少なく出来ない料理人らしく、私はいつも食べきれずにいました。カレーは飲み物とかいう人がいますが、ホント飲まないと完食出来ず、とはいえホントに飲んだら完食出来ない量でした。ネタとして、写真を入れておきます。一方のスイスは戦後間もない1947(昭和22)年創業で、カツカレー発祥の店として知られ、その発案者である巨人軍の千葉茂さんが食べたものを再現した「千葉さんのカツカレー」というメニューもあります。
チャーシューネギラーメン(紅欄) |
続いて中華では、築地やよい軒と紅欄という2店がお薦め。やよい軒は、チェーン店ではなく個人の町中華。ここの一番人気はやよい麺。豚肉と一味唐辛子が効いた野沢菜を炒めたあんがのっています。昼時は、ほとんどの人が、このやよい麺、もしくはやよい麺の汁なしをオーダーしています。ただ、ここの味噌ラーメンもおいしく、K嬢は味噌ラーメン派でした。もう1軒の紅欄は、やよい軒とは対照的。店構え自体は、こちらも町中華っぽいんですが、ラーメンは非常に上品。特に、ほとんどの人が食べるチャーシュウネギラーメンは、あっさりとした澄んだスープが特徴。今のこってり系が好きな若者には受けないかもしれませんが、私のような年配者にはとても優しい「中華そば」です。ちなみにご主人は、ホテル中華の最高峰・ホテルオークラの「桃花林」の出身です。
Kurosawaのステーキ |
あと2丁目で紹介したいのは、鉄板焼きのKurosawaと、焼き鳥の鳥芳です。Kurosawaは、古民家を改装した店で、黒澤明監督が好きだった料理を提供するというコンセプトで、黒澤監督の長男が企画に参加した店です。ランチは3種類のコースの他に特製ハンバーグがあります。何度か行っていますが、一度、娘が遊びに来た時に連れて行き、大好きなハンバーグを食べさせたのですが、特製というのはフォアグラ入りで、実は娘はフォアグラがあまり好きではなく、残念な結果になりました。でも、ここはデザートの時、席を移してゆっくり出来るのですが、そこでアイスクリームを食べて、口直しをしてご機嫌で帰りました。
鳥芳の方は、ザ・焼き鳥屋という感じです。入口近くに焼き場があり、その前にカウンターが何席か並んでいますが、昼時はここは使わず、テーブル席と奥の座敷が使われます。ランチは、鳥焼丼、そぼろ丼、特上重の3種類。ただ、特上はネタがなくなると終了なので、早めに行かないと食べられません。なので、特上を食べたのは限られるのですが、鳥焼丼は数えられないほど食べました。で、鳥焼丼に入っているつくねが結構好きだったので、特上がなくなっても、さほど大きな失望感を味わうことはありませんでした。
鳥芳の特上重 |
鳥芳は、魚竹と同じ、築地警察の前の通りに面しており、魚竹同様、夜もよくお邪魔しました。夜は単品もあるのですが、だいたいコースで頼んでいました。コースは5本、7本、10本だったと思います。それで、飲み物は、よく一緒に行った上司のFさんやベテラン・ライターの原武夫さんが日本酒好きだったので、日本酒を注文するのが常でした。最近は行っていないので、分かりませんが、その頃は升の中にコップが置かれる「もっきり」で、お酒はやかんでつがれていました。原さんなどは、コップのあふれ具合が足りないと、クレームを言うほど、お酒好きな方でした。こうした雰囲気で、いろいろな経験談を聞かせて頂いたのは、いま思うと、本当に貴重な時間でした。
2丁目には、私がよく通っていた、こうした店の他に、印刷会社の人との麻雀でしか行ったことのない、日本料理の「つきぢ田村」であったり、就職して初の給料日前日に、給料日越しの金は持たねえと、今の家内と一緒に行った高級江戸前の「寿司岩」などもあります。また、既に閉店してしまいましたが、事務所の近くには、築地の中でもネタの良さで知られた寿司店を始め、銭湯の番台を思わせる階段下のレジにはまった名物おばちゃんがいた中華「玉林(ぎょくりん)」や、頑固オヤジのとんかつ屋、そして忘れてはいけないレトロな喫茶店「ひよ子」など、名物店がいろいろありました。
取材で地方に行った時、大衆食堂や大衆酒場、純喫茶などを見付けると、ついふらふらと入りたくなったのは、こうした店に通った記憶が蘇り、足を向けさせるのかもと思ったりする今日この頃です。
Kurosawaは一度行ったけど休みだったのか満席だったのか忘れましたが、入店できずリベンジしたことがありました。シブいお店ですね。
返信削除メニュー選びには優柔不断なK嬢 😋 なぜか私とK嬢の好みがよく似ていて、同じものを注文することがよくありました。食べ物には人一倍情報が豊かなK嬢が選ぶものに間違いはありません👍
そう言えば、ボージョレヌーボーでも同じような体験をされていましたよね。体質が似てるのかも・・・
削除ボージョレ・ヌーボー?どんな話でした?
削除ワイン3杯・・・でしたっけ?
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