裏からも見ることが出来るフォトジェニックな滝

鍋ケ滝

前日に熊本に入って、市内で取材を一つ済ませた後、次の日の撮影に備え、大津町まで移動しました。そして翌日、ミルクロードと国道212号を使って、小国町の鍋ケ滝へ向かいました。泊まったホテルから鍋ケ滝までは、ちょうど50kmぐらい、車で約1時間でした。

で、鍋ケ滝まであと少し、たぶんあと1分ぐらいの所で、謎の案山子群像を発見。ミーハーな私は車を停め、パシャリと1枚シャッターを切ってきました。しかも、個人宅の玄関先にいた案山子たちだけではなく、他にも案山子が出没。後で、Google Mapのストリートビューで確かめると、ここのお宅の少し先にいた、釣りをする案山子には、ボカシが入っていました。完全に人間だと思ったんでしょうね。Googleくん、だまされてますよ(笑・・・。

阿蘇 小国町 謎の案山子群像

ちなみに、最近は更にバージョンアップしているようです。「小国町 案山子」で検索すると、結構ヒットします。お断りしておきますけど、新潟県長岡市の小国町で「おぐにかかしまつり」が行われているらしく、そちらの検索結果もかなり出て来ます。Google Mapのストリートビューで確認する時は、鍋ケ滝を目的地に、出発地を坂本善三美術館にしておくと、蓬莱川を渡ってすぐの辺りで、案山子群像のお宅があります。

で、案山子たちから鍋ケ滝の駐車場までは約350mです。2015年に、駐車場や滝までの遊歩道を整備して有料公園化したそうです。入園料は、大人(高校生以上)300円、子ども(小・中学生)150円、小学生未満無料とのことです。

鍋ケ滝

私が行ったのは、その2年前の2013年の晩秋でしたが、その時も駐車場はありましたし、売店もありました。それに、滝までの階段もあって、よく整備されていると思ったのですが・・・。

鍋ケ滝は、落差は10mほどしかありませんが、幅は約25mあり、周囲が木々に覆われているため、木漏れ日の中を水が流れ落ちる様が、とてもフォトジェニックです。更に、最大の特徴は、滝の裏にかなり広いスペースがあり、裏からも滝を見ることが出来るところです。

鍋ケ滝

阿蘇の大自然は、約9万年前に起こった巨大噴火によるものです。前に、裏磐梯の記事を書いた際、1888年の大噴火によって、今の裏磐梯が出来た、まさに「天地創造の世界」と書きましたが、阿蘇の規模は、その磐梯山を大きく上回っています。噴火による火山灰は、なんと北海道まで達したといいます。また、火砕流は海を越えて、長崎県や山口県でも確認されたそうです。

こうした阿蘇山噴火による巨大な火砕流の堆積物は、総称して阿蘇火砕流堆積物と呼ばれます。そして、火砕流によって出来る堅固な岩石を溶結凝灰岩といい、鍋ケ滝はまさにこの溶結凝灰岩にかかる滝なのです。そして、固い溶結凝灰岩の上を水が流れ、滝裏の軟らかい地層を侵食して、長い年月を経た今、奥行き10m以上に及ぶスペースが出来ているわけです。そういう意味で、鍋ケ滝は、阿蘇ジオサイトの中でも、非常に貴重な場所の一つとされています。

鍋ケ滝

この鍋ケ滝へ行く際の目標となる坂本善三美術館は、小国町出身の洋画家・坂本善三の作品などを収蔵、展示しています。美術館は、1872(明治5)年に建てられた古民家を移築したもので、全国的にも珍しい全館畳敷きになっています。鍋ケ滝公園の半券を提示すると、入館料が100円割引になるそうです。

鍋ケ滝がある小国町は、かつて25の村が連なって小国郷と呼ばれていました。それらの村が明治になって、9カ村に集約され、更に1889(明治22)年の町村制施行で、北小国村(6カ村)と南小国村(3カ村)になりました。その後、北小国村は昭和の初めには人口1万人を超え、1935(昭和10)年、町制を施行して小国町と改称、現在に至っています。


町内には、杖立温泉とわいた温泉という二つの温泉場があります。

杖立温泉には、嬉野温泉や武雄温泉と同じように、神功皇后伝説が残り、その歴史は1800年とも言われています。昔から湯治場として愛され、今もその風情を残しています。また、源泉温度約98度という高い湯温と豊富な湯量を利用した「蒸し風呂」や、野菜や卵を蒸して食べる「蒸し場」が点在し、独特の風趣を与えています。

一方のわいた温泉は、大分県九重町との境にある涌蓋山(わいたさん)の麓にある温泉郷で、岳の湯・はげの湯・山川温泉・地獄谷温泉・麻生釣温泉・鈴ヶ谷温泉という六つの湯処の総称です。

私は熊本取材の後ということで、熊本から小国に向かう途中の大津のホテルに泊まりましたが、時間が許せば、これらの温泉でゆっくりしたかったところです。

コメント

このブログの人気の投稿

悲しい歴史を秘めた南の島の麻織物 - 宮古上布

愛媛県南部の初盆行事 - 卯之町で出会った盆提灯

銘菓郷愁 - 米どころ偲ばせて「養生糖」 新潟県新発田

『旅先案内』都道府県別記事一覧

岩手の辺地校を舞台にした「すずらん給食」物語

上州名物空っ風と冬の風物詩・干し大根 - 笠懸町

越後に伝わるだるまの原型「三角だるま」

地域の復興に尽くすボランティアの母 - 八幡幸子さんの話

飛騨高山で味わう絶品B級グルメとスーパージビエ

日本最北端・風の街 - 稚内