新居浜ヘリテージツーリズム

マイントピア別子 端出場ゾーン

新居浜市は、四国の瀬戸内海側のほぼ中央にあります。四国はその名の通り、昔から四つの国(令制国)があり、愛媛県は伊予国と呼ばれています。伊予国は江戸時代、8藩に分かれており、新居浜は西条藩の領地でした。西条藩は当初、一柳家が治めていましたが、1670(寛文10)年、徳川御三家の紀州藩初代藩主徳川頼宣の三男松平頼純が3万石で入封し、紀州徳川家の支藩と位置づけられていました。

西条藩には、一柳家時代から、大坂屋久左衛門が経営する立川銅山がありました。1690(元禄3)年、立川銅山で働いていた切上り長兵衛という鉱夫が、立川銅山に隣接する別子山で有望な鉱脈を発見。別子は西条藩ではなく、天領だったことから、長兵衛は、以前働いていた備中国吹屋(岡山県高梁市成羽町吹屋)の吉岡銅山を経営する泉屋(住友)の支配人に報告します。

泉屋は、西条藩や大坂屋に気づかれぬよう、迂回ルートから別子を探索。鉱脈を確認してから、幕府へ採掘を出願しました。実はそれ以前にも別子で採掘を願い出ていた者が複数おり、中には試掘まで行っていた者もいましたが、幕府は泉屋へ許可を出します。その泉屋も最初の嘆願は、運上銀が少ないと却下され、勘定所からは、運上銀を増額して再願するよう促され、これに応じた泉屋に認可が出ました。


そして、1691(元禄4)年、別子銅山が開坑。以来、1973(昭和48)年まで、別子銅山は282年間にわたって約70万トンの銅を産出し、日本の貿易や近代化に寄与しました。また、住友家は、この銅山によって大きく飛躍、日本を代表する巨大財閥となる礎を築きました。

銅山開坑から300年が経った1991年、新居浜市主導の第三セクター「マイントピア別子」が、別子銅山の採鉱本部跡に新居浜市初の観光テーマパークをオープンさせます。ただ、まだ産業遺産が大きな注目を集める前のだったので、入場者はぼちぼちという感じだったようです。潮目が変わるのは、21世紀に入ってからです。

大きかったのは、2007年に石見銀山が、ユネスコの世界遺産(文化遺産)へ登録されたことでしょう。鉱山遺跡としては、アジアで初めての登録でした。その前年には、石見銀山のある島根県の大田市で、新潟県佐渡市(金山)、大田市(銀山)、新居浜市(銅山)の3市長が集まって「金銀銅サミット」を開催。世界遺産登録を目指して連携することを確認していました。刺激を受けないわけはありません。

マイントピア別子 端出場ゾーン

そんな中、マイントピア別子とリーガロイヤルホテル新居浜が共同でツアー商品を開発することになり、企画を担当したJTBが「天空の産業遺産と瀬戸内クルーズ」というツアーを組みました。そして、ツアーの中で、マイントピア別子の「東平(とうなる)ゾーン」(標高750m)を「東洋のマチュピチュ」と紹介しました。

マチュピチュは、南米ペルーにある古代インカ帝国の遺跡です。アンデス山中の尾根(標高約2430m)にあることから空中都市とも呼ばれ、1983年に世界遺産に登録され、2007年には新・世界七不思議にも認定されました。

広瀬公園

というわけで、私も「東洋のマチュピチュ」を目指して出掛けたことがあるのですが、残念ながら日が悪く、東平への道路が工事をしており通行止め。仕方なく、道の駅を併設している「端出場(はでば)ゾーン」と、ちょうど桜の時期だったので、新居浜の桜の名所・広瀬公園に行ってきました。広瀬公園には、住友グループと工業都市・新居浜の基礎を確立した広瀬宰平の旧邸と庭園があり、亀池と呼ばれる池の周りの桜も満開でした。

ちなみに、後で「東洋のマチュピチュ」を画像検索してみましたが、さすがにマチュピチュは盛りすぎですし、その上に「東洋の」まで付けちゃうなんて、というのが正直な感想でした。

ループ橋標識

ところで、「東洋のマチュピチュ」を目指して車を走らせた際、目的地まであと少しという山道に入った所で、時間帯通行止めにぶつかったわけですが、この時、1時間待たないと上がれないと言われました。しかも、1時間待って上がったとしても、下りる時も時間帯通行止めに引っ掛かりそうなことを言われ、アポを取っていた人物取材がその後に控えていたため、先に進むのを断念しました。

で、その時の往復で通ったループ橋で、見たことのない標識に出会いました。それまで九州や東北で何度かループ橋を走る機会がありましたが、実はこの標識に気付いたはこの時が初めてでした。

そう、その時まで、ループ橋の標識が、こんな、ぐるっと回って飛んでけ〜!みたいなデザインだとは思っていませんでした。

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