大阪と言えば?で思い浮かべる事ども

今年、ネット上で行われたアンケートで、「大阪と言えば?」の問いに、39.4%の人が「たこ焼き」と答えたそうです。たこ焼きは、確かに大阪発祥らしく、昭和10年、福島県会津坂下出身の遠藤留吉さんが、明治からある明石の玉子焼をアレンジして、大阪の屋台で売り出したのが始まりだそうです。

それにしても、「京都の着倒れ、大阪の食い倒れ」と言われる大阪のイメージが、たこ焼きでいいんでしょうか。しかも、第2位のお好み焼き(17.7%)と合わせて、6割近くが粉もんと言われるB級グルメだなんて・・・。

アンケートでは他に、「大阪のおばちゃん」や「吉本新喜劇」「阪神タイガース」「大阪弁」などがランクイン。確かに、よく聞く言葉ですが、これらが本当の大阪なのか、個人的には疑問です。前の記事で触れた、作られた聖徳太子像と同様、これらも作られた大阪像なのでは?

というわけで、調べていたら、『大阪的 「おもろいおばはん」は、こうしてつくられた』という本に出合いました。帯には「大阪は、ほんとうに大阪的か?」とあります。で、出版元のサイトには、以下のようなことが書いてありました。


大阪と聞いて何を思いうかべるだろうか? 芸人顔負けのおばちゃん、アンチ巨人の熱狂的阪神ファン、“金もうけとど根性"の商売人……しかしそれらは東京のメディアが誇張し、大阪側も話を盛ってひろがった、つくられた大阪的イメージだ。「おもろいおばはん」の登場は予算のない在阪テレビ局が素人出演番組を安く量産した結果だし、阪神戦のテレビ中継がまだない一九六〇年代、甲子園球場は対巨人戦以外ガラガラだった。ドケチな印象はテレビドラマが植えつけたもので、「がめつい」は本来、大阪言葉ではなかった。多面的な視点から、紋切型の大阪像をくつがえす。


更に、他のネット記事で著者の井上章一さんは、「東京のメディアはあまり取り上げないが、御堂筋や中之島には美しい街並みがある」と語り、等身大の大阪を提示したいとしています。

私も何度も大阪へ行っていますが、テレビに登場するような「大阪のおばちゃん」には会ったことがありません。タイガースのホーム甲子園は兵庫県西宮市ですし、ネットの調査結果で、唯一理解出来るのは、大阪弁ぐらいでしょうか。それより、第10位に入ったユニバーサルスタジオジャパン(5.4%)の方が、イメージが強いかもしれません。


我が家の長女と2人の姪が、学生の頃、夜行バスで大阪へ行きましたが、目的はUSJでした。若い人にとっては、「吉本新喜劇」よりも、「USJ」の方が大阪的なんじゃないかと思ったりもします。大阪の人が書いていましたが、「吉本」のギャグは、それ自体が面白いのではなく、笑うための合図なんだそうです。つまるところ、客も一緒になって参加するマスゲーム的な趣きでしょうか。

それはともかく、USJが、大阪市此花区のウォーターフロントにオープンしたのは、2001年3月でした。そして今や、テーマパークランキングでは、2017年〜2020年の4年連続で国内第1位に輝いています。私も、ディズニーランドより、ユニバーサルスタジオの方に興味があります。


で、何を隠そう、私もUSJには何度か行っています。と言っても、アトラクションにはほとんど入ったことがありません。USJを利用したイベントの打ち合わせと、イベント本番という訳あり入場だったためです。ただ、アメリカから事前打ち合わせに参加していたFMさんは、抜け駆けで「バックドラフト」に入り、ご満悦でした。今ならホグワーツが人気なんでしょうが、私的には「ジョーズ」とか「ジュラシックパーク」「ウォーターワールド」ですかね。


ところで、2025年には大阪・関西万博が開催されますが、会場はUSJの先にある夢州(ゆめしま)です。私も1970年の大阪万博に行きましたが、あれは大阪は大阪でも、大阪府吹田市でした。また、1990年には大阪市鶴見区の鶴見緑地で花の万博が開催され、取材に行きましたが、こちらは特定のテーマに絞った小規模の「特別博」というカテゴリーでした。というわけで、今回は50年ぶりに開催される大規模博覧会になります。

と、ここで最後に、『大阪的・・・』の著者が推している御堂筋について触れておきます。


御堂筋は、キタとミナミの繁華街を結ぶ約4km、幅44mのメイン・ストリートです。起点となるJR大阪駅前は、百貨店やホテルが建ち並ぶキタの繁華街。ここから南へ向かうと、堂島川と土佐堀川に挟まれた中之島があります。江戸時代には諸国の米や産物が集まり、北岸には諸藩の蔵屋敷が、南岸には豪商の屋敷が並び、「天下の台所」の中心だった場所です。現在は、日本銀行大阪支店や中之島図書館、中央公会堂と格調高い建造物が並び、ヨーロッパの街をほうふつさせます。また、中之島には御堂筋上の大江橋と淀屋橋、天神祭の舞台となる天神橋など多くの橋がかかり、水上バスも行き交ってまさに「水の都」の趣を見せています。


淀屋橋を渡ると、近代的なビジネス街本町に入ります。豊臣秀吉が、商工業者を呼び寄せ住まわせた地で、「伏見町」「安土町」といった町名にその名残があります。両側に連なる大企業のビルをよく見ると、ビルの高さがきれいに揃っているのに気付きます。古都が設けるような高さ制限が御堂筋にもあり、それが堂々とした銀杏並木と共に整然として美しい街並みを作っているのです。


御堂筋の名の由来となった西本願寺、東本願寺の二つの御堂を過ぎて心斎橋が近づくと、雑然としてにぎやかな街へと様子が変わります。心斎橋筋のアーケード街や、若者の街アメリカ村へ向かう周防町筋へと絶え間なく人の波が流れていきます。


更に南へ進むと、混沌とした雰囲気の道頓堀へ。派手なネオンが輝き、飲食店がひしめき合う様は、まさに「くいだおれ」の象徴。伝統ある劇場や、あの「吉本」の本拠地もあり、文化の拠点ともなっています。

【追記】今日(2021年12月14日)の「マツコの知らない世界」で、大阪・御堂筋の彫刻ストリートが紹介されていたので、写真を1点追加します。大阪を代表する美観地区・御堂筋には、ロダンや高村光太郎などの彫刻29体が点在。御堂筋で最も美しいと言われる本町界隈では、イチョウ並木の下、御影石の舗道が、まるで屋外ギャラリーの様相を呈しており、道行く人の目を楽しませています。

※ちなみに、「くいだおれ」の本来の意味は、「杭倒れ」だそうです。「水の都」大阪では、多くの橋がかけられましたが、そのほとんどは町人たちが自腹で建設しました。中には、橋の杭を立てるために破産する人もいたことから、そう言わるようになったそうです。

コメント

  1. 御堂筋の側道が通行禁止になり、オオサカのシャンゼリゼ通りを目指すとか?!

    三都(京都・大阪・神戸=関西でいう三都で無理やり神戸をねじ込んでますけど。でも平安時代の終わりに短い時間でしたが実際都があったんです)の文化はそれぞれ違います。

    京の着倒れ、大阪の食い倒れと来れば神戸の履き倒れもオマケでついてきます。

    ところで、FMさんって誰だろう?

    返信削除
    返信
    1. さっきテレビを見ていたら、マツコの知らない世界で、御堂筋彫刻ストリートが出て来たので、写真を1点追加しました。

      京都、大阪、神戸は、文化もそうですが、人も雰囲気もだいぶ違いますね。

      FMさん・・・Mooreさんです。

      削除

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