天地創造の世界・裏磐梯を訪ねて
1888(明治21)年7月15日の朝、1000年の眠りから覚めた磐梯山が、突然爆発しました。それまで北側にあった小磐梯山が吹き飛ばされ、それらが土石流となって、磐梯山の北側を流れていた長瀬川沿いに押し出し、谷を埋め、川を堰き止めました。
その過程で、崩壊した大きな岩塊がそっくり移動して、流れ山が出来ました。更には、長瀬川の堰き止めや、流れ山の低所に水がたたえられて湖が出来、沼となりました。桧原湖や五色沼など、大小200もの湖沼群、磐梯高原はこうして誕生しました。まさに天地創造です。
今回の記事では、この天地創造の世界・裏磐梯を訪ねます。磐梯高原には、いわゆる裏磐梯三湖と呼ばれる火山堰き止め湖、桧原湖、秋元湖、小野川湖があります。しかし、これら大きな湖を紹介していると長くなってしまうので、今回はパスして、五色沼自然探勝路と中瀬沼遊歩道を紹介します。
五色沼は、裏磐梯の定番と言っていいほどの有名な観光地です。既にご存じかもしれませんが、裏磐梯紀行で、ここを外すわけにはいきません。
そんな五色沼の人気の秘密は、やはり水の色にあるといっていいでしょう。湧出する鉱泉に含まれている物質と光の加減で、沼により、天候により、また時間によって、さまざまに色が変化します。特に秋は、紅葉を水面に映し、ひときわ美しくなります。
探勝路は全長3.7km。東西二つの入口があり、東口は五色沼自然教室からスタート。西ロは裏磐梯で最もにぎわう、桧原湖南岸の磐梯高原駅バス停近くから入ることになります。
東口から入ると、まず五色沼の中で最も大きい毘沙門沼に出ます。ここではボート遊びも出来、背景には磐梯山も望めます。探勝路を進むと、深泥沼、弁天沼と続き、五色沼随一の景勝地と言われる瑠璃沼に着きます。瑠璃沼のそばには、エメラルドグリーンの水をたたえた青沼があり、ここから最後の柳沼まではあと一息。西口に着いたら、桧原湖で遊覧船に乗るのもいいでしょう。
中瀬沼は、桧原湖と小野川湖に挟まれた湖で、その北岸、アカマツ林の中をたどるように全長2.5kmの遊歩道が設けられています。途中にある展望台からの眺めは格別。眼下には小島が浮かぶ中瀬沼があり、正面には磐梯山の爆裂火口が大きく口を開けています。
この展望台は、流れ山の上に設けられたものです。それにしても、絶好のポジションに流れ着いたものです。中瀬沼遊歩道には、桧原湖畔遊歩道の終点から周遊することも出来ます。
また、ミズバショウやニッコウキスゲなど約280種もの湿原植物が自生する雄国沼湿原も、見逃せません。なにしろ「裏磐梯に来て雄国沼へ行かないのは、ディズニーランドへ行ってミッキーマウスに会わないのと同じ」という説もあるほど。しかし、桧原湖の南から雄子沢沿いに歩くコースで、湿原までが約1時間半。パンフレットなどには、健脚派にはお薦めなどと書いてあります。もっとも、いったん喜多方市へ出ると、近くまで行ける舗装道路が通じているので、楽をして入ることも出来ます。
ちなみに、裏磐梯の紅葉は、10月上旬の磐梯山に始まり、下旬の五色沼周辺まで、まるまる1カ月楽しめます。桧原湖の手前にある磐梯山噴火記念館は、1888年の大噴火前後の変化と、裏磐梯に生息する動植物を展示。そのそばにある磐梯山3Dワールドでは、磐梯山の自然や噴火の様子を3D映像で体感出来ます。噴火した岩塊などが目の前に迫り、思わず避けてしまうほどの迫力。両館の共通入場券もあります。
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