手つかずの大自然に抱かれ、自然と共に暮らす人々
道東地方のほぼ中央、阿寒国立公園の約56%を占める弟子屈町は摩周湖、屈斜路湖、硫黄山など、手つかずの大自然があふれ、年間約100万人の観光客が訪れます。
←屈斜路湖からそのまま掘り込んだ和琴半島の露天風呂。湖畔には砂浜を掘ると即露天風呂になる砂湯などもあります
阿寒国立公園は、「火山と森と湖」の公園と呼ばれ、千島火山帯の西南端にあたる三つのカルデラ・摩周、屈斜路、阿寒が中心となっています。三つの大きなカルデラが、これほど接近しているのは世界的にも珍しく、特に屈斜路カルデラは世界最大級で、美幌峠や藻琴山などの雄大な外輪山を持っています。透明度世界一といわれる摩周湖は、45度の急斜面で覆われます。これほど険しい湖岸も珍しいでしょう。湖には、注ぐ川も、流れ出る川もありません。春から秋までは霧が多く、その姿を隠すことが多くなります。摩周湖が、「神秘の湖」と呼ばれるのもうなづけます。
そんな弟子屈の観光拠点となるのが、川湯や摩周などの温泉群。町には七つの温泉があり、それぞれ泉質・効能からロケーションまでさまざまで、バラエティーに富んだ温泉が味わえます。
この地の温泉を最初に探査したのは、1858(安政5)年にここを訪れた蝦夷地探検家・松浦武四郎でした。その後、明治に入って本格的な調査が行われ、1877(明治10)年、川湯などの採掘が始まりました。
その川湯は、アカエゾマツやシラカバ、ミズナラなどの天然林に囲まれた温泉街です。湯量も豊富で、湯の川が街の中を流れ、硫黄の香りと湯煙りが漂っています。弟子屈では、こうした観光の他、酪農や畑作が基幹産業となっています。これらは、いずれも自然そのもの、あるいは気候、風土など自然条件を生かしたものばかり。人の暮らしが、いかに自然の恩恵を受けているかがよく分かります。
太古を思わせる、手つかずの大自然に抱かれるように暮らす人々に、日本古来の伝統的な生活を見る思いがします。
硫黄山はいまなお噴気を上げ火山活動を続けている |
←屈斜路湖からそのまま掘り込んだ和琴半島の露天風呂。湖畔には砂浜を掘ると即露天風呂になる砂湯などもあります
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