北の創り手たちの心を伝える温もりの木工クラフト
東川町は、北海道の屋根と言われる大雪山連峰の山裾にあり、肥沃な土壌と豊かな自然に恵まれています。道内一の落差を誇る羽衣の滝を持つ天人峡温泉、大雪山連峰の主峰旭岳中腹の旭岳温泉の二つの温泉を有し、おいしい米や野菜、木工品が生産される町として知られています。
また毎年、国際写真フェスティバル「フォト・フェスタ」や「写真甲子園」が開催され、写真の町としても有名です。
東川は、旭川市の東にあり、元は旭川村(現市)に属していました。その後、1897(明治30)年に分村、1959(昭和34)年に町制を施行しました。町の西側は上川盆地の穀倉の一環を成す平野部、東部は大雪山連峰の主峰旭岳に連なる火山・原生林地帯で、大雪山国立公園に含まれています。
旭川、東川の周辺は、大雪山系の森林地帯を控え、古くから製材木工業が盛んで、家具などの生産も行われてきました。これらの家具は、狂いの少ないと言われる地場木材を使って、全国的にも高い評価を得ています。
そうした伝統家具の流れの中で、40年ほど前から、木工クラフトが脚光を浴びるようになりました。当初は、旭川に造形作家などを招いて講習会も行われ、家具作りのノウハウを生かしながら、新しいクラフトを生み出してきました。自然をモチーフにしたものが多く、作品からは木の温もりや優しさが伝わってきました。やがて、題材を自然に求める作家たちは、自然が豊かな郊外へ工房を移すようになりました。特に、素材や工具なども入手しやすい東川は、そうした作家たちにとって、恰好の拠点だったようです。現在、東川には多くの工房が点在し、それぞれ独自の手法とデザインで、楽しいクラフトを制作しています。
しかも、家具を始めとする木工の伝統を受け継いだ作家たちは、高い技術に裏打ちされた新しいクラフトを創り上げ、全国的にも高い評価を得ています。販路も、むしろ道外の方が多く、東京や大阪といった大都市圏に広がっています。コンクリートに囲まれた都会の人間にとって、東川のクラフトは、自然の温もりを感じさせるオアシスとなっているのでしょうか。
※写真は、鳥のモビールを始め動く木工クラフトを創る早見賢二さん
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