地域ブランド「すみだモダン」とディープな町・八広
墨田は、日本の高度経済成長を支えた町工場がひしめくものづくりの町です。しかし、受託製造が中心で、自社商品を持っていませんでした。そこで区では、高い技術力を持つ墨田の町工場が、デザイナーやプランナーとコラボ出来る環境を整えることで、「すみだモダン」が生まれました。一方、飲食店メニューは区民で構成される「すみだブランド区民調査隊」が覆面調査、試食を行うというミシュラン的な流れを経て認証されています。
雑誌の企画で、この「すみだモダン」を取材したのは4年ほど前のことです。取材では、東京スカイツリータウン5階の「産業観光プラザ すみだ まち処」で「すみだモダン」認証商品の撮影をさせて頂いたり、取材先の工場にも話を通してくださったり、区の方にも全面的に協力して頂きました。
飲食店メニューは、昼食を兼ねて、向島の隅田公園近くにある下町割烹「上総屋」さんの「まぐろ生姜焼き」を取り上げました。マグロのスジ肉を使った生姜焼で、「上総屋」さんの看板メニューとしてロングセラーになっています。毎日マグロを市場で大量に仕入れ、店でさばいている「上総屋」さんならではの一品で、昼定食は600円、夜は単品で750円で出しています。
雑誌の企画で、この「すみだモダン」を取材したのは4年ほど前のことです。取材では、東京スカイツリータウン5階の「産業観光プラザ すみだ まち処」で「すみだモダン」認証商品の撮影をさせて頂いたり、取材先の工場にも話を通してくださったり、区の方にも全面的に協力して頂きました。
飲食店メニューは、昼食を兼ねて、向島の隅田公園近くにある下町割烹「上総屋」さんの「まぐろ生姜焼き」を取り上げました。マグロのスジ肉を使った生姜焼で、「上総屋」さんの看板メニューとしてロングセラーになっています。毎日マグロを市場で大量に仕入れ、店でさばいている「上総屋」さんならではの一品で、昼定食は600円、夜は単品で750円で出しています。
「上総屋」さんは1934(昭和9)年創業で、昼飲みも出来るの大衆割烹として、地元で愛されています。東京大空襲から奇跡的に焼け残った創業当時の建物は、外に置かれた石のゴミ箱と共に昭和の下町を感じさせ、居酒屋漫画「ハルの肴」の舞台にもなっています。
「すみだモダン」の飲食店メニューで、もう1軒取材させてもらったのは、東向島にある自家焙煎珈琲専門店「カフェシュクレ」(楡井有子代表取締役)さんでした。東武伊勢崎線曳舟駅の近くにあり、こちらは「smileシリーズ プレミアムシュクレブレンド」で、「すみだモダン」に認証されています。代表の楡井さんはm徹底的に豆にこだわり、100%トレーサビリティーを実現。その中から、最高峰デカフェを使用したノンカフェイン・ブランド「イノセントコーヒー」も生み出しました。「カフェシュクレ」のバリスタ高橋由佳さんは、ジャパンハンドドリップチャンピオンシップ2015で優勝していますが、この時、使用したのも「すみだモダン」に認証されているケトル「kaico」でした。
このケトルを作っているのは、こちらも東向島にある金属プレス加工の昌栄工業さん。同社はホーローケトルの加工を得意としており、「kaiko」は初めての自社ブランド。「kaiko」シリーズの中でも注目は、三角断面の湯口を持つドリップケトルで、カフェシュクレが開発に関わりました。高橋さんによると、コーヒーを淹れる時に繊細な滴が落ちるように作られているそうです。
昌栄工業さんの近くには、「てのひらトング」で「すみだモダン」に認証されている笠原スプリング製作所(笠原克之代表社員)があります。笠原スプリング製作所がある八広は、墨田区北端の町で、すみだのものづくりを支えてきた町工場が軒を連ねています。
笠原さんは、桜の名所として全国的に有名な墨田にちなんで、コラボレーターと区内企業が結成したチーム「墨田Hanamiプロジェクト」に参加。これは、花見やピクニックなど、戸外で食事を楽しむためのグッズや食品を開発しようというもので、ここから携帯用の「お皿まな板(㈲チバプラス)」や、昔ドイツ皇帝が狩りに携行したというヤークトブルストのすみだ版(㈱桑原ハム)と共に、笠原さんの「てのひらトング」が生まれました。「てのひらトング」は、1年半の歳月をかけて完成した苦心作で、カスタネット大のサイズで女性でもつかみやすく、料理を簡単に取り分けられます。
この時の「すみだモダン」の取材は2日に分けて行いました。その最後が、笠原さんの所だったので、取材後、カメラマンの田中さんと、八広にある老舗酒場「丸好酒場」に立ち寄りました。居酒屋本の名著『下町酒場巡礼』(ちくま文庫)の巻頭を飾る有名店で、ここの牛もつ煮込みは絶品です。
八広は、北を足立区、東を荒川を挟んで葛飾区と接する町で、野球の王貞治さんの出身地です。また、横綱白鵬や人気力士炎鵬が所属する宮城野部屋が、ここ八広にあります。この町で70年以上、営業を続ける丸好酒場は、母娘で切り盛りする下町酒場です。名物の煮込みは、大鍋でぐつぐつ音を立てて煮込まれたものに、特製のニンニク醤油だれをかけて提供されます。
また、この店は、トイレが衝撃的なことでも有名。知らない人が見たら、人の家に向かって立ちションする酔っぱらいだと思われるのでは、などとびくびくしながら用を足すことになります。ちなみに、女性には家のトイレを貸してくれるみたいで、煮込みのおいしさに引かれた田中さんが、後日、奥さんとお嬢さんを連れて行ったところ、女性には配慮してくれることが判明したそうです。
丸好酒場は、京成押上線八広駅から約500mですが、東武伊勢崎線鐘ケ淵駅からでも約750mと近く、京成線利用の田中さんと東武線利用の私にとっては、ちょうど中間点で、なかなかの立地なのです。丸好酒場から鐘ケ淵駅までの鐘ケ淵通りは、現在、東京都による拡幅事業が進められています。この通りは道幅が狭く、歩道がないため、酔っぱらって歩いているとやや危険ですが、計画では、車道を2車線に広げるわけではなく、左右に5mずつの歩道と自転車道を設ける予定になっているようです。当初計画ではそろそろ完成の時期に当たっているので、新型コロナが収束したら、ぜひとも再訪したいものです。
取材記事→「ものづくりの町が展開する地域ブランド・すみだモダン - 墨田」
昭和が残っているんですね。興味が湧きます。足を踏み入れたことがない東京です。
返信削除石のゴミ箱はどこの家の庭先にもあって、今のように指定袋もなく、生ゴミだろうが燃えないゴミだろうがバンバン放り込んでましたけど、どうやってゴミを収集していたんでしょうね。小さかったので記憶がありません。というか、ゴミを集めに来る頃は学校に行っていたと思いますけど。
コロナが落ち着けば連れて行ってくださいね。
丸好酒場もかなりいいんですが、八広駅から二つ先の立石は、呑兵衛の聖地と呼ばれる場所で、更にディープな町になります。
削除新コロがなければ、昼呑み旅をしていたはずだったので、ぜひご一緒しましょう。