讃岐うどん発祥の地・綾川町のうどんたち
滝宮天満宮 |
綾川町は香川県のほぼ中央、2006年に綾歌(あやうた)郡の綾上(あやかみ)、綾南(りょうなん)両町が合併して誕生しました。南に讃岐山脈がそびえ、清流綾川が町の中をゆったりと流れ、のどかな田園と里山が織り成す讃岐らしい風景が広がります。
綾川町の滝宮は、讃岐うどん発祥の地と言われ、毎年4月に滝宮天満宮で献麺式が行われています。そんな町だけに、05年のゴールデンウィークには最長2時間待ち、車の列が延々2kmも続いたという山越うどんを始め、人気うどん店が数多くあります。今も休日になると、四国ばかりでなく関西や山陽から観光客が押し寄せ、綾川にある道の駅「うどん会館」には、年間約30万人の来園者があります。
その綾川を取材したのは2015年のことでした。取材は、もちろん、うどんが中心でした。取材記事は、別ブログにまとめているので、良かったらそちらも併せて読んでみてください(「讃岐うどん発祥の地はうどん県のど真ん中 - 綾川」)。
取材は、地元の方がコーディネートしてくださり、到着早々、道の駅滝宮「うどん会館」に案内されました。ここで、綾川町とうどんについて、簡単なレクチャーを受けながら、昼食を取ることに。で、先方が注文してくださったのが、冷たいつけうどんでした。さすが発祥の地のうどん、こしがあっておいしかったのですが、カメラマンの田中さんと私が食べ終わるのを待っていたかのように、続けて温かいうどんが出て来ました。というわけで、いきなり冷温両方の洗礼を受けてから、取材開始となりました。
この時の泊まりは、綾川ではなく、お隣の琴平(「丸亀・一鶴、多度津・いこい、琴平・紅鶴。香川県の骨付鶏3選」)だったため、夕飯と次の日の朝は、うどんではありませんでしたが、昼食と間食は全てうどんでした。
2日目、朝食を終えて、綾川に着いた我々が案内されたのは、店先に「うどん」と書かれたのれんが出ているだけの隠れた名店「松岡」さんでした。「松岡」さんは、讃岐うどん界で西の横綱と呼ばれながら09年に惜しまれつつ閉店した伝説の名店「宮武うどん」で修行を積んだ大将が1991年に開業した店だそうです。撮影にも快く協力して頂きましたが、その時、限界を超えて作ると質が落ちるから、と毎日決まった数だけしか打たいない、と話しておられました。
そんな「松岡」さんですが、消費税が10%になるのを機に、値上げをしたくないと、店をたたむことを決意。そして、18年11月15日をもって、閉店してしまいました。
実は大将、当初は常連さんにだけ、こっそり閉店を知らせていたそうです。が、うどんファンたちの間にもその噂が広がっていきました。ツイッターでは、閉店の噂が駆け巡り、悲鳴のような反応が湧き上がったようです。そして、閉店を惜しむファンたちが、日本全国から駆け付け、最後の方は、昼過ぎには売り切れという状態になっていたとのこと。前に福山の大衆食堂「稲田屋」さんの閉店の時にも書きましたが、多くの人たちから愛されていた店が閉店するのは、本当に悲しいことです。
その後、もう1軒、案内して頂いたのが、讃岐うどんの最人気店「山越うどん」さんでした。サッカーJ2「カマタマーレ讃岐」のチーム名の由来にもなったメニュー「かまたま」が代名詞の店です。
この「かまたま」、いつも卵を入れた丼を持って、うどんを買いに来る近所の方がいて、自分たちでも試してみたところ、とてもおいしかったので、メニューに加えたそうです。それが今や全国区。地元で愛される店には、それぞれ常連さんが付いていて、その人たちが編み出した裏メニュー的な食べ方があるものです。その中には、このかまたまを始め、カツカレーやそばめしなど、メジャーになったものもありますが、全国には、まだまだ隠れた逸品があるんでしょうねえ。
綾菊酒造の蔵をバックに商品撮影 |
もちろん、水の恵みはうどんが独り占めしているわけではありません。綾川町はまた、おいしい日本酒の酒蔵があることでも知られます。その一つ、綾菊酒造の蔵に入ると、入口近くに水神様が祭られていました。蔵の下には枯れることのない綾川の伏流水が引かれた井戸があります。「綾菊を支えているのはこの井戸水。綾川の清流に恵まれたからこそ、ここまでこられた」と蔵元は話していました。
※ちなみに「うどん会館」は、昨年からリニューアル工事に入り、この12月13日(日)に「うどんといちごの郷 道の駅滝宮」として、リニューアルオープンの予定だそうです。
香川まで車を飛ばしてうどんを食べに行ったことがあります。二度行ったのですが、最初に行った時は駐車スペースも数台しかなかったと思うのですが、翌年かその次の年に行った時はお店はそのままでしたが、店の向かい側に大きな駐車場ができていてガードマンも数名が交通整理をしていました。
返信削除やはり数が売れるということは儲かるんですね。質が落ちるからと限定数しか作らなかったうどん屋さんが閉店に追い込まれ、観光客目当てのうどん屋が大盛況で商売拡大。どちらが正しのかわかりません。
うどんブームもあったのでしょうが、輸入小麦の価格が上がっていて、そこに消費税の増税が重なったようです。常連さんなどファンは、値上げしたくないという気持ちも分かるが、続けてほしかった、ずっと食べていたかったとの思いが強く、かなりショックを受けたそうです。
削除今日、用事があって、現在地に引っ越してきた当初、最も賑やかだった市内の中心地に行ったのですが、テナント募集の場所がやたら目立ち、驚きました。個人の飲食店は、新型コロナの影響をモロにかぶって大変なんだなと改めて実感しました。応援したい気持ちはやまやまなんですが、外食はちょっとまだ心配で・・・。