B級グルメの聖地・久留米で焼き鳥のはしご

りんどう杯車いすバスケットボール九州大会
りんどう杯車いすバスケットボール九州大会(写真/田中勝明)

毎年夏、福岡県久留米市で、りんどう杯車いすバスケットボール九州大会が開催されています。今年は残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となりましたが、予定通り開催されていれば、37回目となるはずでした。

この大会は、民間団体である久留米りんどうライオンズクラブが主催していることもあって、複合的な目的を持って開催されています。その最大の特徴は、久留米市内の中学生が、授業の一環としてゲームを観戦することにあります。中学校ごとに応援チームを決め、鳴り物入りで応援合戦を展開するため、選手たちもいつもよりハッスル。また、その姿勢が子どもたちに伝わり、勇気と感動を与えるという相乗効果をもたらしています。

私も一度、大会を取材させて頂いたことがありますが、中学生による応援合戦の他にも、ハーフタイムにはアップテンポなBGMを流したり、地元小学生のダンス・パフォーマンスを入れたり、大会全体を盛り上げる工夫が凝らされていました。大会に初めて参加したという宮崎の選手も、「まさかこんなに元気のある大会だとは思ってもいませんでした」と話し、他の車いすバスケットボール大会では見られない盛り上がりに、選手たちもより一層燃えているようでした。

りんどう杯車いすバスケットボール九州大会
りんどう杯車いすバスケットボール九州大会(写真/田中勝明)

この時、パフォーマンスに参加した小学生に感想を聞いてみると、その子は、
「いちばん強く心に残っているのは、選手の方々の顔です。とてもキラキラと輝いていました。足が不自由なのに、どうしてあんなに素敵な笑顔が出来るんだろうと思いました。ボールに向かっていく姿は、足が自由に使える私たちよりもたくましく見え、憧れます。感動をもらった分、自分も選手の皆さんに感動してもらいたいと、一生懸命に大きく踊りました」
と話してくれました。

また、大会の常連だという女性チームの選手は、
「大会運営に携わっている方たちが、いろいろな場面で温かく声を掛けてくださったり、選手が試合に集中出来るよう配慮してくださっています。この大会に参加して、多くの方々に支えられていることを改めて実感しました。それに応えるためにも、更に向上したプレーを見せられるよう、これからも練習に励みます」
と、熱い思いを語っていました。
焼とり弁慶
焼とり弁慶

 ◆

大会が開催された久留米市は、福岡県の南部にあります。人口は約30万人で、福岡県では福岡市、北九州市に次いで3番目の都市となっています。で、この久留米市は、焼き鳥店数が人口1万人当たり約8軒で、日本一となっているそうです。

となれば当然、焼き鳥屋へ行きますよね。

りんどう杯車いすバスケットボール九州大会は、朝からの取材だったので、前日に久留米入り。日中に、カメラマンの田中勝明さんと有田でトンバイ塀を撮影後、久留米に着いたのは、ちょうど頃合いの時間でした。

久留米はB級グルメの聖地と言われており、B級好きの血が騒ぐというものです。というわけで、ネットで調べて久留米で人気の焼き鳥店・弁慶に行くことにしました。

ネットでさっと見た時、開店時間は17時半と書いてありました。まあ土曜日だし、そんなに混んではいないだろうと思っていたのですが、店の看板が見えたところで、既に4組8人が行列を作っているのが分かりました。

焼とり弁慶
焼とり弁慶
がーん! そんなに人気店だったのか! 我々は甘かった! と少しがっかりして店の前まで来ると、まだ暖簾が出ていません。

あれ? 開店が遅れているのかな、と列の後ろに並びながら、再度、弁慶をネットで検索。すると、土曜日は18時開店とありました。30分間違えたのね。

でも、間違えたおかげで、5組目に並ぶことが出来たわけで、まさにけがの功名でございます。18時前には我々の後ろに更に5組ほどが並び、なかなかの盛況ぶりがうかがえました。

18時になって赤提灯が出されると、客は次々と、まだ中にある暖簾をくぐり店内へ。カウンターには椅子が9脚あり、前の4組が座ったら、残りは1席。。。さて、我々はどうなるの? 不安がよぎりましたが、奥に座敷があり、4人のテーブルは予約が入っているが、2人がけのテーブルでよければと言われ、ホッと一安心。

焼とり弁慶
焼とり弁慶の豚バラ
で、1本52円という皮やら、開店前にネットで情報を得ていた豚バラなどを注文。ネットに書き込みがあった通り、豚バラはかなりのデカさ。レバ刺しや山いもの串焼き、ベーコンチーズ巻など、全ておいしく、評判通りの店でした。唯一、残念だったのがつくねで、私にはタレがイマイチしっくりきませんでした。

人気店で、とりあえず「久留米焼き鳥」を堪能したところで、次はラーメン一番人気の店へ向かうことにしました。が、その途中に、やはり人気店の焼き鳥屋台があるので、ちょっとだけ覗きに寄りました。するってえと、焼いているのが優しそうなおばあちゃんであることが分かり、ラーメンは後回しにして、ベンチに座ることにしました。

焼とり屋台キング
焼とり屋台キング
屋台は、そのおばあちゃんと孫のコンビが切り盛りしていました。とても、いい感じの二人で、屋台メニューの「みずのいも割り」を飲みながら、ここでまた焼き鳥をいろいろ注文。どの串も全てうまく、弁慶と甲乙付けがたい味でした。※この時の「屋台キング」は残念ながら、現在では閉店してしまったようです。

名物店2軒に行って分かったのですが、久留米やきとりは、鶏だけではなく、豚や牛など、とりあえず串に刺せば、何でも「やきとり」になるようです。それはそれとして、メニューに「センポコ」とか「ダルム」とか、聞いたことのないものがあって、戸惑いました。

聞くと、「センポコ」は牛の大動脈、「ダルム」は豚の小腸(白もつ)だそうです。久留米弁なのかと思ったら、ドイツ語だそうで、昔、九州医学専門学校(現・久留米大学)の医学生が、やきとりをドイツ語で注文したからとのことです。

ところで、ラーメンはというと、さすがに2軒焼き鳥をはしごすると、ラーメンを食べる気になれず、シメはなしでホテルに帰着しました。それでも、ちっとも残念な気がしなかった、久留米焼き鳥探訪でした。

ちなみに、久留米ラーメンは以前、他の取材で福岡県南部に来た際、佐賀市にいる田中さんの義兄に案内して頂き、食したことがあります。久留米ラーメンは、いわゆる「白濁豚骨スープ」という名で呼ばれるらしいですが、久留米こそが、とんこつラーメン発祥の地なのだそうです。そのあたりも含めて、久留米がB級グルメの聖地と呼ばれるのでしょう。

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