100年近い歴史を刻む木造駅舎のシフォンケーキ屋さん
1928(昭和3)年2月、旧国鉄時代に豊肥本線の支線として、南阿蘇村の立野と高森町の間を結ぶ路線が開業。その際、もともとあった立野駅に加え、長陽、阿蘇下田、中松、阿蘇白川、高森の各駅が新設されました。その後、同年12月に豊肥本線が全通したことに伴い、立野 - 高森間は高森線として分離されました。
しかし、赤字路線となり、1981(昭和56)年に第1次特定地方交通線として廃止が承認され、バスへの転換案が提示されました。これに対して、地元では存続運動を展開。7町村の出資(99.5%)によって、85年に第三セクター「南阿蘇鉄道」(愛称「南鉄」)が設立され、86年から営業を開始しました。
転換当初は、旧国鉄高森線時代の6駅でしたが、日本一長い駅名を誇る「南阿蘇水の生まれる里白水高原」や、名水百選に選ばれた白川水源の最寄り駅「南阿蘇白川水源」など10駅にまで増え、地域住民の交通手段としてだけではなく、阿蘇観光にも利用されるローカル色豊かな鉄道となっています。
そんな中で、長陽駅には2006(平成18)年、駅舎内の喫茶店「久永屋」が開業。店主の久永操さんは佐賀県の出身だそうですが、ご両親が南阿蘇に移住した関係で、南阿蘇で仕事をするようになりました。
駅舎を店舗にするまでには紆余曲折があったらしいのですが、長陽地区出身の村長を始め役場の方たちの協力もあり、外装改修と構造補強は村で、内装工事は自費で施工し、開店にこぎ着けました。看板メニューは、「久永屋の唯一の資本」と言われたことから命名した「資本ケーキ(シフォンケーキ)」。国産の無漂白小麦とサトウキビ100%の粗糖を材料に、添加物や保存料は使わない自然派のケーキを作っています。
ただ、喫茶店をオープンするのは土日祝日限定で、ふだんはシフォンケーキ屋として営業しています。お取り寄せも出来るので、気になった方はサイトを覗いてみてください。→http://choyoeki.shop-pro.jp/
ちなみに南阿蘇鉄道は、2016年4月の熊本地震で大きな被害を受け、一時、全線運休となりました。その年7月31日から、高森駅と中松駅の間5駅、7.1kmで運転を再開しましたが、中松〜立野間は依然として運休が続いています。
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